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2020年にあたってハラスメント防止を考える

2020年となりました。
新年、ハラスメントを取り巻く状況を共有できればと思います。

昨年日本では、いわゆるパワハラ防止法(労働施策総合推進法)が制定されました。
しかし現実は、国際労働機関(ILO)で成立したハラスメント禁止条約の
批准レベルにはまだまだ届かない偏りがあります。

2020年6月からパワハラ防止法の対象となりますが、
大手メーカーや流通業など、誰でも知っているような大企業でも、
まだまだパラハラ事件が起きています。

相談窓口を担当していて感じるのは、以下の2点です。
・医療、建築など、人手不足が深刻であるほど、
 さまざまなハラスメントが起きやすい傾向があること
・年上の部下や、世代間ギャップが大きい部下など、
 管理職と部下との間に、一層のコミュニケーションギャップがあること

また、LGBTの人に対する企業・組織の適切な関わりが、
今後ますますクローズアップされていくと考えています。
11月に発表されたLGBT総合研究所の調査結果によると、
LGBT・性的少数者に該当する人は約10.0%であることが判明しています。
先日、ある省庁に対し「自認する性別に対応するトイレの使用制限は違法」
という判決も出ました。無視はできない判決です。

世界経済フォーラムから公表された「ジェンダー・ギャップ指数」で
日本は121位と、過去最低を更新したことも気になります。
ジェンダーの問題は、セクハラ、マタハラ(パタハラ)を引き起こします。
#MeToo運動が、日本で今ひとつ盛り上がらなかったことも、
ジェンダーの課題があるように思います。

社内の対話不足も深刻です。
全体の文脈や状況を相対的にみて、上司や同僚が
なぜ、それを言っているのかを判断する力が下がっていることが、
ハラスメントにつながっているのではないかと感じることも増えています。
子どもの国語力低下が、これから社会人となる若者たちの
文脈を読み取る力の不足につながらないとよいのですが…。
気になって仕方がありません。

ハラスメントを取り巻く環境は、
前進した点とより問題が複雑化している点の両面があります。
2020年は、企業と個人、個人と個人の間に生じたギャップを
どのように埋めていったらよいのかを、具体的に考える必要がありそうです。

ヒューマン・クオリティー一同、来年も引き続き、研修実施や
企業・組織の「場」づくりを通して、あらゆる皆様が元気に働けるための
サポートに邁進していきたいと考えております。
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パワハラに「該当しない例」も 厚労省指針の指針で初の例示

厚生労働省の労働政策審議会で示された指針は、
パワハラに該当する例・該当しない例が、
【身体的な攻撃】【精神的な攻撃】などの6類型に分け、
具体的に示されています。以下にいくつかをご紹介します。

【身体的な攻撃】

◎怪我をしかねない物を投げつける
 ⇒パワハラに該当する

◎誤ってぶつかる、物をぶつけてしまう等により怪我をさせる
 ⇒パワハラに該当しない


【精神的な攻撃】

◎業務の遂行に関し、必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う
 ⇒パワハラに該当する

◎マナーを欠いた言動や行動を何度注意しても改善しない場合に強く注意する
 ⇒パワハラに該当しない


【人間関係からの切り離し】

◎自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、
 長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりする
 ⇒パワハラに該当する

◎新規採用者の育成で短期集中研修などを個室で実施する
 ⇒パワハラに該当しない


【過大な要求】

◎長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下で
 勤務に直接関係のない作業を命ずる
 ⇒パワハラに該当する

◎育成のために少し高いレベルの業務を任せる
 ⇒パワハラに該当しない


【過少な要求】

◎管理職である者を退職させるために、誰でも遂行できる業務を行わせる
 ⇒パワハラに該当する

◎労働者の能力に応じ、業務内容や量を軽減する
 ⇒パワハラに該当しない


【個の侵害】

◎労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする
 ⇒パワハラに該当する

◎労働者への配慮を目的に家族の状況などを聞きとる
 ⇒パワハラに該当しない


本指針に対しては、パワハラに該当する・しないの線引きが難しく、
「企業寄りの内容になっている」といった議論もありますが、
該当する・しないの具体例が示されることによって、
パワハラに困っている人が声を挙げやすくなると考えています。

今、複数の大手企業の社員の自殺に関して、
原因がパワハラだったとして、労災認定されていますが、
同様なパワハラは、今でも現場で、数多く発生しています。
パワハラ対策に真剣に取り組まざるをえない状況になっていることを
改めて認識することが重要です。

ハラスメント防止:日本と世界の動向

『職場のパワーハラスメントの防止を企業に義務づける改正労働施策総合推進法が29日、参院本会議で可決、成立した。初めてパワハラを定義し、上下関係を背景としたパワハラは許されないと明記する一方、罰則規定は見送られた。具体的にどのような行為がパワハラに当たるかについて、厚生労働省が来年4月の施行までに指針を策定する。
改正法は、パワハラを「優越的な関係を背景に、業務上必要な範囲を超えた言動で労働者の就業環境を害する」と初めて定義。相談体制の整備や、被害者に対する不利益な取り扱いの禁止を企業に義務づけた。一方で、「業務上の指導との線引きが難しい」とする企業側の意向を受け、パワハラ自体を罰する規定は見送られた。今後、取引先からのパワハラや顧客からの迷惑行為に関する指針も定め、フリーランスや就職活動中の学生向けの対策を検討する。 』毎日新聞2019年5月29日より抜粋。I

パワハラ防止法がついに可決されました。この機会に世界にも目を向けてみると世界では、ハラスメント行為そのものを禁止する法がある国が多数派です(※)。なかでも欧州は法律による規制が進んでいます。1989年に出された「労働者の安全と健康に関する基本指令」により、EU加盟各国に対し、ハラスメントの禁止を法制化することを求めました。

その結果、
・ベルギー、フランス ⇒ ハラスメントを対象とした特別法の制定
・英国、オランダ ⇒ 差別禁止法や平等待遇法のなかでハラスメント禁止を明記など、国内法化が進んでいます。

ILOが2019年に採択を目指す条約には「加盟国は仕事の世界における暴力とハラスメントを禁止するための国内法を制定すべき」という文言が盛り込まれる可能性が高いと考えられます。

この条約が採択されれば、日本も批准することになるでしょう。しかし批准するためには、ハラスメントを禁止する国内法の制定は必須です。今回、パワハラ防止を義務付ける法ができましたが、ILOの条約に日本が批准するためには、より一層厳しい規制を設けることが求められそうです。

※ILOの調査によると、ハラスメントを規制する国は80ヵ国中60ヵ国。日本は、規制がない国に分類されている。

パワハラ対策法案が衆院通過 防止措置を義務付け

「職場でのパワーハラスメント(パワハラ)防止を義務付ける関連法案が25日の衆院本会議で可決し、参院に送付された。法案成立後に厚生労働省がどのような行為がパワハラにあたるかの指針を作る。2020年4月にも施行される見込みで、働きやすい職場環境の整備を後押しする。

職場で強い立場にある人が嫌がらせをするパワハラを防ぐため、相談窓口の設置やパワハラをした社員の処分内容を就業規則に設けることなどを企業に義務付ける。

セクシュアルハラスメントやマタニティーハラスメントはすでに企業に防止措置が課されているが、パワハラは明確な定義がなく対策は自主努力に委ねられていた。改正案ではパワハラを「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動」などと明記した。

可決したのは労働施策総合推進法や女性活躍推進法などの改正案。
具体的にどんな行為がパワハラにあたるかの線引きは厚労省が作成する指針で示す。指針は法案成立後、夏ごろから議論を始めて年内公表を目指す。」
(日本経済新聞 2019年4月25日より)

◆労働施策総合推進法~パワハラ防止の法制化に向けて~

◆労働施策総合推進法~パワハラ防止の法制化に向けて~

労働政策審議会 雇用環境・均等分科会では、昨年8月より、
女性の働き方や活躍の推進、職場のハラスメントなどをテーマに
検討を重ねてきました。

先日、第14回審議会が開催されたのですが、その際、
「組織にパワハラ防止を義務付ける法律」は、

 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び
 職業生活の充実等に関する法律

に盛り込まれることに決まりました。法制局の審査を経て法律案を確定し、
法案の閣議決定がなされました。

成立すれば、企業は1年以内にパワハラ防止に取り組む義務が
生じる予定です(中小企業は3年間の猶予あり)。

「労働施策総合推進法」などと略されることが多い法律です。
今後の動きに注目していきたいと思います。
プロフィール

ヒューマンクオリティー

Author:ヒューマンクオリティー
樋口ユミ
(株)ヒューマン・クオリティー代表取締役

ハラスメント防止対策の専門機関としてあらゆる企業・団体・教育機関に対して防止対策コンサルティングや教育研修、カウンセリングを行う。
産業カウンセラー・米国GCDF-
Japanキャリアカウンセラー

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